㈱アトミエック代表取締役 松本浩司氏~タウン誌をWeb化 地域の情報を発掘しましょう~③
地域限定の情報にこそ価値
――四国の内子町。愛媛の松山から車で小一時間の山間にある町ですけど、そこが産直販売の農産物にトレーサビリティシステムを導入したんですよ。どこの誰が、どういう畑で、いつどういう農薬を撒いたかがネットで分かる。生産者の顔や畑の写真が付いている。食品の安全・安心を重視する動きもあって、農協に出荷できない曲がったキュウリや虫食いのキャベツが売れるようになった。松山市に住んでいるお年寄りが、「自分の孫に安全な野菜を食べさせたい」って注文してくるんだそうです。松本 あ、その話、どっかで聞いたことがあります。
――そうしたらね、それまで年収300万円だった農家が年収1,000万円になった。ま、全員がそうなったということではなくて、そういうケースもある、ということでしょうけど、お陰で都会から息子や娘が帰ってきた。都会であくせく働いて年収300万円なら、故郷で年収1,000万円の方がいいに決まってますもんね。
松本 地域限定の情報だからこそ価値があるんですね。当社のシステムにはテンプレートが用意されてますから、デジタルカメラで撮った写真とテキストがあればWebサイトが簡単にできちゃう。当社はそういうお店をいくつも集めてポータルを作っていく。地方の名店、特産品が集まっているバーチャルなショッピングタウンがネット上に誕生するじゃないですか。クチコミとかブログとリンクすることで、インタラクティブな旅行ガイドブックができる。しかもテレビというマスメディアの情報じゃない。
――インターネットはマス化された画一からの脱却を促すはずだけど、依然として画一にとどまっているきらいがある。情報の受け手が成熟していないせいもあるし、ブランド志向の風潮もあるけれど、それにフィットしたシステムがなかった。アクセス数の多さを競っているようじゃ、本当のインターネット利用とはいえないかもしれません。
松本 私はそこまでは考えていないけど、たしかにそうかもしれません。量より質なんでしょうね。地域限定の情報だからこそ価値がある、というように変わっていくんじゃないですか。
松本 そうなってくれるといいですね。ただ当社にはそういう力がないんで、どうしてもパートナーが必要になる。
――萩原誠二さんだったかな? 今は衆議院議員をやってる。通産省の課長補佐だったとき、萩原さんが《協働》ということを提唱した。地域の行政と産業、市民が一緒になってプロジェクトを進めていこうという考えです。動きがここにきてやっと本格化してきた。シャッター通りを復活させようというんで、商店街単位のポータルを作ろう、という話も耳にすることが多くなった。提案を持ち込んでみたらどうですか。
松本 チャンスがあれば是非そうしたいです。今は東京で実績を出すことを最優先にしてるんで、その次ということでしょうね。何かいいお話があったら、よろしくお願いします(笑)。
――聞き忘れてましたけど、このシステムの名前は? 例えば「オープンタウン」とか、愛称があるでしょう?
松本 それがまだなんです。去年の7月、やっとサンマーク社で稼働したばっかりで、それをもとにテンプレート機能を付けた当社オリジナルバージョンを作った。何か親しみやすい商品名が必要だとは考えてますけど、気が付いたらずるずると年を越してしまった。
――全国展開をするんなら、ネーミングがたいせつですよ。そうか、だから御社のホームページを見ても、このシステムの情報が出ていないんだ。
松本 サンマーク社の《めざ★なび》があるもので、営業のプレゼンでは《めざ★なび》を見てもらってます。
松本 私のような者が口にすべきことかどうか分かりませんけど、「地域情報化」って最終的に何が目的なんですかね? パソコンやインターネットを使うことが目的じゃないでしょ? 仮にホームページを作ったとして、それで済む話じゃない。サーバーの管理やコンテンツの更新もあります。氾濫する情報をどうコントロールするか、という課題もある。パソコンも容易じゃない人にホームページを作らせて、そのうえにメンテナンスさせて情報化だっていうのは、よく分からない。
――国や地方自治体は「地域情報化が重要だ」って一所懸命に旗を振る。情報を発信すれば地域が活性化する、と。でも実際には地域の情報を発信できていない。そこで政策を立てる人たちはワンパターンの落とし穴に落ち込むわけだ。すぐに「ブロードバンドの基盤整備」だの「情報リテラシー(活用能力)の向上」だの、「IT人材の育成」っていうでしょ? ところがそういう話じゃない。
松本 福岡市ってそれなりに都会じゃないですか。パソコンを持っている、インターネットを使っている人はおおぜいいるでしょうけど、それでもホームページを作って運営できる人となると、そんなに大勢はいない。ましてHTMLやJavaを使える人となるとはもっと少ない。もっと重要なのは設計ですから。
――HTMLやJavaを覚えたって仕事がないもの。
――地方のソフト会社がもっと頑張るべきなんだ。大都市に要員を送り出すだけじゃ、地域のソフト業はいつまでたっても都市の下請けから抜け出せない。
松本 それが嫌なんです。自立しないと。現実には技術者の派遣もするけれど、システム設計とかコンサルティグに軸足を置いていきたいし、ちょっとばっか、意地を張りたいんです。そうじゃないと面白くないでしょ?
松本 地域限定の情報だからこそ価値があるんですね。当社のシステムにはテンプレートが用意されてますから、デジタルカメラで撮った写真とテキストがあればWebサイトが簡単にできちゃう。当社はそういうお店をいくつも集めてポータルを作っていく。地方の名店、特産品が集まっているバーチャルなショッピングタウンがネット上に誕生するじゃないですか。クチコミとかブログとリンクすることで、インタラクティブな旅行ガイドブックができる。しかもテレビというマスメディアの情報じゃない。
――インターネットはマス化された画一からの脱却を促すはずだけど、依然として画一にとどまっているきらいがある。情報の受け手が成熟していないせいもあるし、ブランド志向の風潮もあるけれど、それにフィットしたシステムがなかった。アクセス数の多さを競っているようじゃ、本当のインターネット利用とはいえないかもしれません。
松本 私はそこまでは考えていないけど、たしかにそうかもしれません。量より質なんでしょうね。地域限定の情報だからこそ価値がある、というように変わっていくんじゃないですか。
名前はまだつけてません
――自治体が行地域振興策に取り込んでくれるといい展開になりますね。商工会とか商店街がこのシステムに乗ってくれると、御社としても対応しやすい。松本 そうなってくれるといいですね。ただ当社にはそういう力がないんで、どうしてもパートナーが必要になる。
――萩原誠二さんだったかな? 今は衆議院議員をやってる。通産省の課長補佐だったとき、萩原さんが《協働》ということを提唱した。地域の行政と産業、市民が一緒になってプロジェクトを進めていこうという考えです。動きがここにきてやっと本格化してきた。シャッター通りを復活させようというんで、商店街単位のポータルを作ろう、という話も耳にすることが多くなった。提案を持ち込んでみたらどうですか。
松本 チャンスがあれば是非そうしたいです。今は東京で実績を出すことを最優先にしてるんで、その次ということでしょうね。何かいいお話があったら、よろしくお願いします(笑)。
――聞き忘れてましたけど、このシステムの名前は? 例えば「オープンタウン」とか、愛称があるでしょう?
松本 それがまだなんです。去年の7月、やっとサンマーク社で稼働したばっかりで、それをもとにテンプレート機能を付けた当社オリジナルバージョンを作った。何か親しみやすい商品名が必要だとは考えてますけど、気が付いたらずるずると年を越してしまった。
――全国展開をするんなら、ネーミングがたいせつですよ。そうか、だから御社のホームページを見ても、このシステムの情報が出ていないんだ。
松本 サンマーク社の《めざ★なび》があるもので、営業のプレゼンでは《めざ★なび》を見てもらってます。
IT人材の育成では進まない
――松本さんはITの素人だとおっしゃる。でもITで地域に貢献したい、そういう会社を経営している。そのためのシステムを作ったわけだ。「地域情報化」を旗印にしている人たちに言いたいことはありますか?松本 私のような者が口にすべきことかどうか分かりませんけど、「地域情報化」って最終的に何が目的なんですかね? パソコンやインターネットを使うことが目的じゃないでしょ? 仮にホームページを作ったとして、それで済む話じゃない。サーバーの管理やコンテンツの更新もあります。氾濫する情報をどうコントロールするか、という課題もある。パソコンも容易じゃない人にホームページを作らせて、そのうえにメンテナンスさせて情報化だっていうのは、よく分からない。
――国や地方自治体は「地域情報化が重要だ」って一所懸命に旗を振る。情報を発信すれば地域が活性化する、と。でも実際には地域の情報を発信できていない。そこで政策を立てる人たちはワンパターンの落とし穴に落ち込むわけだ。すぐに「ブロードバンドの基盤整備」だの「情報リテラシー(活用能力)の向上」だの、「IT人材の育成」っていうでしょ? ところがそういう話じゃない。
松本 福岡市ってそれなりに都会じゃないですか。パソコンを持っている、インターネットを使っている人はおおぜいいるでしょうけど、それでもホームページを作って運営できる人となると、そんなに大勢はいない。ましてHTMLやJavaを使える人となるとはもっと少ない。もっと重要なのは設計ですから。
――HTMLやJavaを覚えたって仕事がないもの。
ちょっとばかり意地を張りたい
松本 じゃなかったら、当社に仕事はきませんよ。仕掛けは当社のような地域の専門会社がしっかり作って、地域の人がもっと簡単に情報を発信できるようにする。東京とかの大都市の大きな会社には、地方の事情は理解できないんじゃないかな。――地方のソフト会社がもっと頑張るべきなんだ。大都市に要員を送り出すだけじゃ、地域のソフト業はいつまでたっても都市の下請けから抜け出せない。
松本 それが嫌なんです。自立しないと。現実には技術者の派遣もするけれど、システム設計とかコンサルティグに軸足を置いていきたいし、ちょっとばっか、意地を張りたいんです。そうじゃないと面白くないでしょ?
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技術とその使用法は車の両輪です。技術は経営のためにあるので経営が前輪、技術が後輪ということでしょうか。過去の産業は技術が経営をドライブしきました。後輪駆動で来たのです。ところがITが可能にしたのは自由な情報の交換、いわゆる情報のフラット化で、それによって経営の仕方、視点が鍵を握ります。後輪駆動から前輪駆動へのパラダイム転換です。今まで人、金の流れは中央に向けていましたが、松本さんの視点はそれを逆転していて新しい産業フレーム、社会フレームをもっておられることが身にしみて分かります。松本さんが全国に散らばっている隠れ頭脳に光をあたえて、流れを中央から地方へ逆転する新機軸の芽となって行かれることを期待するしだいです。
投稿: 山田博英 | 2009年2月27日 (金) 08時30分