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㈱アトミテック代表取締役 松本浩司氏~タウン誌をWeb化 地域の情報を発掘しましょう~②

発端は福岡市のフリーペーパー

 ――ということで本題ですけど、あのシステムを作ったイキサツは?

松本 そもそもは自分たちの発想じゃないんです。発端はサンマークっていう福岡市のフリーペーパー編集会社。そこから持ち込まれたWebサイトを作ってくれという話だったんです。それで終わっていたらそれだけのことだったんですけど、当社のエンジニアが面白がって、寄ってたかって今のシステムの原型を作っちゃった。

 ――作っちゃった?
松本 博多の駅前に当社の支社があって。博多で仕事してましたからね。支店を出すなら土地勘がある博多、というわけです。そこで、サンマーク社の人と支店の責任者がたまたま知り合いになった。当社はホームページよりWebアプリケーションの開発が得意なんで、うまく歯車が噛み合ったんですね。
 ――ああ、それで。何で宇部のソフト会社が福岡のタウン誌なのかと思ってました。これがサンマーク社が発行しているタウン誌?
松本 そう、『Messa-jyu』(メサージュ)。街中でフリーペーパーとして配布されています。福岡市だけじゃなくて、北九州市と熊本市でもそれぞれの地域版が発行されてます。
 ――なかなか立派なつくりですね。
松本 最初は掲載したお店の予約がインターネットでできる仕掛け、という程度の軽いイメージだったらしい。らしい、というのは、最初の段階に私は関与していなかったからなんです。
 ――福岡支店が受注した案件というお話でした。あくまでも一支店の中での話しだったということですか。
松本 報告は受けてましたけど。で、福岡支店のエンジニアたちは受注した仕事をこなしながら、お客さんが求めていない機能、つまり要求仕様にない機能をあれこれ作っていった。改めてプロトタイプを作ったというわけじゃなかった。
 ――通常の一方通行型じゃ面白くない、というわけだ。
松本 情報が羅列されているだけじゃ誰も見てくれない。情報を発信する人とWebサイトを見ている人が双方向で何かできる仕掛けにした方が面白い。
 ――Web2.0的な発想ですか。
松本 というより携帯電話とインターネットが生活の一部になっている若いエンジニアの発想じゃないですか。そのプロトタイプをお客さんに見せたら、そっちの方がいい、っていうことになって、いろんなアイデアが出てきた。例えばクチコミ情報とか人気店のランキングとか。お気に入りのホルダーとか、ポイントサービスなんかもそうですね。これが発展して《めざ★なび》(http://www.messa-jyu.com)というサービスになっている。

地方にお金が落ちる仕掛け

 ――今は《めざ★なび》にクローズされたサービスかもしれないけれど、同じシステムを使えば例えば札幌や仙台のタウン誌情報を利用した人がポイントを他の都市でも使えるようにすることも可能ですよね。出張先でポイントをもらったって、それっきりだもの。
松本 買い物ポイントはリピート客の確保が目的だったけど、今はもうその領域を超えていて、新しいサービスのトリガーになっている。当社のシステムだと、買い物ポイントの全国共通利用が可能になる。
 ――まさにITの成せる業ですよね。それは非常に面白いけれど、インターネットを利用した予約という点に絞ると、他にも似たようなサービスがあるでしょ? 私たちも会合を開くとき、そういう予約サイトを使ってますよ。
松本 当社のシステムはフリーペーパーの印刷に使っているコンテンツをそのまま使って、電子タウン誌にしているのが特徴かな。アナログとデジタルのクロスオーバー。東京のお店はお客さんが多いからタウン誌やWebサイトにお金をかけることができるかもしれませんけど、地方ではそうはいかない。そのためにわざわざ別のコンテンツを作ってたんじゃ、街の個人商店はホームページどころじゃない。タウン誌の情報掲載料で《めさ★なび》にも掲載できる。
 ――一粒で二度美味しい。
松本 そういう付加価値をつけないと、やっていけない地方都市のフリーペーパーが少なくないんじゃないでしょうか。マーケットサイズが違う。だから大都市圏の消費者に地方都市の情報を伝えることで、地方
にお金を落としてもらえる仕組みを作って行きたいんですよ。

次にねらうのは中小の市町村

 ――掲載料でWebも、となると、どこで利益を得るの? 買い物したり利用した金額の何パーセントという課金は難しいでしょ?
松本 タウン誌の編集会社から1社当りいくら、という形。でもものすごく安いんで、数をこなさないといけない。正直にいうと、まだ利益には結びついてません。福岡、北九州、熊本の実績を背景に、去年の秋から東京を攻めてます。宇部と比べると福岡は大都市ですけど、東京は福岡の何倍も大きい。無手勝流で当っているんですが、引き合いが出てきた。
 ――都市が当然のマーケットでしょうけど、私の感覚でいうと中小の市町村だな。地方のお店にお金が落ちる仕組みが作れるように思いますよ。産直販売サイトというかバーチャル商店街というか。
松本 実は私もそう考えてます。東京のような大都市は市場規模も大きいけれど、情報があふれている。当社はそこに軸足を置きながら、その一方で地方の情報を大都市に伝える役割を担ったほうが面白いかな、と。
 ――宇部市という地方都市の発想ですかね。
松本 地域限定の特産品、名店、銘酒ってたくさんあると思うんですよ。大都市に暮らしている人はそういう情報を求めているんじゃないかと思います。
 ――地元の人しか知らない美味しい和菓子とか。個人的なことで恐縮ですけど、私が子どものころ過ごした新潟の山奥の町には地元の人しか行かない温泉とか、絶景の紅葉とかがある。おおぜいに知ってもらいたい、来てもらいたいと思う一方で、荒らされたくないという気持ちもある。逆にブログやクチコミを意図的に流して金儲けをたくらむ人もいる。
松本 そういうことは必ず起こると思うんです。でもありきたりな旅行とかお土産というのは無難だけどすぐ飽きられちゃうでしょ? テレビの旅番組でいろんな景色や店、物産とかが紹介されています。すると、現在の旅行というのはテレビで得た情報の確認でしかないんですよね。「わっスゴイ、テレビで見たのと同じ」っていう感じ。そうじゃなくて、自分で面白いものを発見する手段として、当社のシステムを利用してもらえたら嬉しいですよ。

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