J-SaaS「全国キャラバン」レポート ITに使われない方法~要点は顧客と社員の満足度~⑥
○○――
サービスを使う時代
――分かりやすいのが宅配便です。何かモノを届けたい。自分で持っていくことに意味があるのなら、何時間かかっても自分で届ければいい。例えば恋人の誕生日に花束を届ける、とかね(笑)。それは花束を持ってわざわざ行くということに価値があるわけなんで、花束なんてなくたっていい。でも、モノが間違いなく届けばいいのなら、宅配便で十分ということの方が多い。
奥谷 宅配便というサービスを使っているんですね。ガソリン代がナンボ、ドライバーの給料がナンボ、トラックの償却費がナンボなんて、我われは考えない。
――宅配便って厳密にいえばトラック輸送業じゃないですか。一定の大きさと重さの荷物をリーズナブルな料金で確実に届けてくれる。私たちはトラックを使っているという意識はない。サービスを使っているんですね。つまりトラック輸送業がサービス業に変わった。
奥谷 その意味でJ-SaaSは私どもシステム開発を受託している会社がサービス業に転換していくきっかけになるかもしれません。
――だといいんですが。ただ、先ほど皆さんに見ていただいたJ-SaaS宣伝用のDVDでね、残念だったのは長尾さんや奥谷さんのようなお立場の方が登場しなかったことかな。ここのところは、次のバージョンでは改良してほしいところです。それとJ-SaaSを使ったら何もかも上手く行く、J-SaaSを使えばIT経営だ、みたいな話には無理があって(笑)、それより重要なのはITをうまく使うには「何を」を明確にしないといけないってことだと思うんですね。でも、私たちITを追いかけている者でも、いざ“我がこと”となると優先順位が分からない。そのために普及指導員やITコーディネータの方たちがいるんでね。
――私はね、長尾さんや奥谷さんのような方の知識や技能を含めたのがソフトウェアだと思っているんですね。そういう観点から見ると、ソフトウェアっていうのは実は非常にヒューマニティックであるといっていい。
奥谷 仰るように情報システムを作って運用していくのに欠かせないのはコミュニケーションですね。コミュニケーションがうまくないといいシステムは作れない。
――その場合、長尾さんや奥谷さんはご自分で言いにくいでしょうから私が代弁しますけど、コンサルティングにはちゃんとお金を払ってくださいね。昔、日本人は「空気と水はタダと思っている」と言われましたけど、いまや空気も水もお金を払って買っている。コンビニやスーパーで売ってるミネラルウォーターはガソリンより高い。だったらコンサルティングやサービスにもお金を払わないといけない。
長尾 お気を使っていただいて、ありがとうございます(笑)。
――そろそろ時間も残り少なくなってきたんでSaaSの今後をどう見ておられるのか、皆さんのお話をうかがいましょうか。まず古芝さん、デジタルドルフィンズをSaaSで、というお考えはないんですか? 思いつきで結構ですけど。
古芝 政治家の口約束よりは確率が高いと思いますが(笑)、実は次はSaaSだ、と考えてます。というのは、当社の本業は金型であり特殊な金属加工品なんで、ソフトウェア事業を拡大していくにはノウハウがない。しかし多くの中小企業の皆さんに使ってほしい。そうなるとSaaSっていうのは魅力的な選択肢になりますよね。
――従業員20人の枚岡さんが自らのニーズでお作りになったシステムですから、同程度の規模の会社には必ず同じようなニーズが必ずあると思います。三技協さんが作った「サイバーマニュアル」というシステムもそうですけど。SaaSのアプリケーションは中小企業のIT利用を進めるという意味と、優れたソフトウェアを世に出していくという2つの意味があるんじゃないでしょうか。
奥谷 先ほどシステムを受託して開発している会社もサービスモデルに転換するチャンス、と申し上げたのは、そういう意味なんですね。役割分担で、SaaSの後のことは私どもにお任せください、と。ライセンス管理とか課金とか、機能強化とかはやはりITの専門家である我われの仕事なんで。
――このセミナーはJ-SaaSの普及啓蒙が目的ですから、そこのところは割り引いていただくとして(笑)。これまでは司会役ということで自分の見解は申し上げなかったというか、誘導質問のかたちで意見を申し上げてきた(笑)んですけど、最後にお時間をいただきます。話し始めると止まらなくなっちゃうんで時計と睨めっこをしながら話しますが、まず「クラウド」という言葉。これは定義が曖昧でしてね。来年の今ごろ、ひょっとすると消えているかもしれない。コンピュータ・パワーのユーティリティ化、アプリケーション・プログラムのコモディティ化と言うベキなんでしょう。言葉に惑わされず、自分の会社に何が必要か、何を解決したいのかを考えた方がいい。ITに振り回されないためには、言葉を追いかけないことです。第二に、これは私の母親の話ですが、5年ほど前、「パソコンはどこのメーカーがいいのか」という相談があったんですね。てっきり孫娘に買ってやるのかと思ったら、自分が使うんだ、と。そのとき母は77歳ですよ。何がしたいかっていうと、株をやりたい、と。それで儲かったという話は聞いたことがありませんが、77歳でも「何をしたいか」がはっきりしていればITは道具に過ぎないんですね。ということで、そろそろお時間がきたようです。つたない司会進行でしたが、豊富な実践経験を持つパネラーお三方に助けていただき、適切な発言をいただくことができました。ご清聴ありがとうございました。
――宅配便って厳密にいえばトラック輸送業じゃないですか。一定の大きさと重さの荷物をリーズナブルな料金で確実に届けてくれる。私たちはトラックを使っているという意識はない。サービスを使っているんですね。つまりトラック輸送業がサービス業に変わった。
奥谷 その意味でJ-SaaSは私どもシステム開発を受託している会社がサービス業に転換していくきっかけになるかもしれません。
――だといいんですが。ただ、先ほど皆さんに見ていただいたJ-SaaS宣伝用のDVDでね、残念だったのは長尾さんや奥谷さんのようなお立場の方が登場しなかったことかな。ここのところは、次のバージョンでは改良してほしいところです。それとJ-SaaSを使ったら何もかも上手く行く、J-SaaSを使えばIT経営だ、みたいな話には無理があって(笑)、それより重要なのはITをうまく使うには「何を」を明確にしないといけないってことだと思うんですね。でも、私たちITを追いかけている者でも、いざ“我がこと”となると優先順位が分からない。そのために普及指導員やITコーディネータの方たちがいるんでね。
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地元の相談相手を利用しよう
長尾 これまでも地元でいろいろなご相談に乗ってきて、いろいろなケースを見てきてますので。さっきも言いましたように、何でもかんでもITで、ということはないんです。企業を動かすのはヒトですから。――私はね、長尾さんや奥谷さんのような方の知識や技能を含めたのがソフトウェアだと思っているんですね。そういう観点から見ると、ソフトウェアっていうのは実は非常にヒューマニティックであるといっていい。
奥谷 仰るように情報システムを作って運用していくのに欠かせないのはコミュニケーションですね。コミュニケーションがうまくないといいシステムは作れない。
――その場合、長尾さんや奥谷さんはご自分で言いにくいでしょうから私が代弁しますけど、コンサルティングにはちゃんとお金を払ってくださいね。昔、日本人は「空気と水はタダと思っている」と言われましたけど、いまや空気も水もお金を払って買っている。コンビニやスーパーで売ってるミネラルウォーターはガソリンより高い。だったらコンサルティングやサービスにもお金を払わないといけない。
長尾 お気を使っていただいて、ありがとうございます(笑)。
――そろそろ時間も残り少なくなってきたんでSaaSの今後をどう見ておられるのか、皆さんのお話をうかがいましょうか。まず古芝さん、デジタルドルフィンズをSaaSで、というお考えはないんですか? 思いつきで結構ですけど。
古芝 政治家の口約束よりは確率が高いと思いますが(笑)、実は次はSaaSだ、と考えてます。というのは、当社の本業は金型であり特殊な金属加工品なんで、ソフトウェア事業を拡大していくにはノウハウがない。しかし多くの中小企業の皆さんに使ってほしい。そうなるとSaaSっていうのは魅力的な選択肢になりますよね。
――従業員20人の枚岡さんが自らのニーズでお作りになったシステムですから、同程度の規模の会社には必ず同じようなニーズが必ずあると思います。三技協さんが作った「サイバーマニュアル」というシステムもそうですけど。SaaSのアプリケーションは中小企業のIT利用を進めるという意味と、優れたソフトウェアを世に出していくという2つの意味があるんじゃないでしょうか。
奥谷 先ほどシステムを受託して開発している会社もサービスモデルに転換するチャンス、と申し上げたのは、そういう意味なんですね。役割分担で、SaaSの後のことは私どもにお任せください、と。ライセンス管理とか課金とか、機能強化とかはやはりITの専門家である我われの仕事なんで。
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ITの言葉に騙されるな
長尾 いずれにしてもソフトウェアを買う時代から、その機能を利用する時代になった、ということです。今回、J-SaaSで提供されるのは26種のパッケージですけど、いずれ間違いなく100種、200種と増えていくでしょう。お試し利用ができて、私たちのようなサポーターもいる。J-SaaSもしくは、他のSaaSを検討していただいていいと思います。――このセミナーはJ-SaaSの普及啓蒙が目的ですから、そこのところは割り引いていただくとして(笑)。これまでは司会役ということで自分の見解は申し上げなかったというか、誘導質問のかたちで意見を申し上げてきた(笑)んですけど、最後にお時間をいただきます。話し始めると止まらなくなっちゃうんで時計と睨めっこをしながら話しますが、まず「クラウド」という言葉。これは定義が曖昧でしてね。来年の今ごろ、ひょっとすると消えているかもしれない。コンピュータ・パワーのユーティリティ化、アプリケーション・プログラムのコモディティ化と言うベキなんでしょう。言葉に惑わされず、自分の会社に何が必要か、何を解決したいのかを考えた方がいい。ITに振り回されないためには、言葉を追いかけないことです。第二に、これは私の母親の話ですが、5年ほど前、「パソコンはどこのメーカーがいいのか」という相談があったんですね。てっきり孫娘に買ってやるのかと思ったら、自分が使うんだ、と。そのとき母は77歳ですよ。何がしたいかっていうと、株をやりたい、と。それで儲かったという話は聞いたことがありませんが、77歳でも「何をしたいか」がはっきりしていればITは道具に過ぎないんですね。ということで、そろそろお時間がきたようです。つたない司会進行でしたが、豊富な実践経験を持つパネラーお三方に助けていただき、適切な発言をいただくことができました。ご清聴ありがとうございました。
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